6月中旬に横浜市にてCANのCANP2019に参加しました。昨年の西播磨天文台での開催に引き続いて2年連続の参加です。
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開始前会場風景
今年は100名近くの参加。過去最多だそうです。

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最初の講演は岡野先生による『初心者のための画像処理の基本』でした。
大御所の講義を拝聴したのは初めてだったのですが、数式がありながらわかりやすい説明でとても面白かったです。このスライドのように、フィルムの現像がデジタル現像と同じ事を現像処理の段階で勝手に行っている事は知りませんでした。

今回会いたかった方が数名みえましたが、今回初めて会えたのが、この方です。
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 分子雲や彗星の描写でこの人の右に出る人はいないだろうと思います。
〇〇松さんです。
Facebook等でのやりとりはありましたが、面識がなく、今回晴れてお会いできました。イメージ通りの大変ユーモアがあって、かつアクティビティのある方でした。彗星に目がないところは僕と同じですね。
レベルは違いますが...
 一緒に撮影出来る距離ではありませんが、一度一緒に大彗星を追いかけてみたいです。

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 次はUTOさんのラッキーイメージングの講演です。
いきなりまとめですが、折角のガイドカメラや惑星カメラを使わない手はないなと。明るい部分はCMOSで短時間多数枚コンポジット、淡い部分はCCDでじっくり撮影したそれぞれを融合するのが理想的と。
なるほど、いいとこ取りって事ですね。面白そうです。

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次はぴんたんさん。
Flataideを使った一発かぶり取りの方法を伝授です。
上の写真の左側は赤いドーナッツ状のかぶりがありますが、左は上記処理によって綺麗に消えています。
ダークフラット処理後に星雲や星の少ない所の撮影画像からシェーディング補正することでかぶりを撮ることが出来ます。結構効果高いので光害地でドーナッツ状のかぶりを何度も経験しているので試して見たいと思います。
 ぴんたんさんにはこの後飽和復元のやり方を直接講義してもらいました。結果はやり方は間違っていませんでしたが、その後レベル補正を詰めていなかったことで、処理が掛かっていないようにみえただけDした。(^^ゞ

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天リフの山〇さん.
天文向け写真用レンズの最新情報の講演でした。
商店距離別にカテゴリー分類されて、それぞれの特徴とお勧めレンズの紹介です。
写真用レンズはシグマのアートシリーズの発売を境にしてサードパーティ製のレンズの性能向上が著しく、それに引っ張られるように全体的にレベルアップしていると。なので中古で購入するなら5年以内のものをとのこと。確かに最近発売されるレンズは星の写真用かと思えるほど周辺星像が優れたものが多いです。

他面白かったのが、ほしぞLOVEログの宮〇さんの電子観望についてです。
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観望会で星や星雲を見せても大体が、『え?こんなシミのようなもの?写真のようにみえないじゃん』とがっかりされることが多いです。月や惑星なら写真とほぼ同じようにみえるのに、星雲はなんと言っても暗い。 これを最近の高感度なCMOSカメラを使った電子観望なら結構写真のように星雲に色が付いた状態で見ることが出来ると。
 これは観望会に面白いなと感じました。近所の子供達に夏休みに見せてあげるのもいいなと。
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講演後、直接お話しする機会がありました。
宮〇氏曰く、大きな望遠鏡は要らない、むしろ焦点距離の短い明るい鏡筒が良いと。イプ130DでもOK。カメラは感度の高い比較的大きなCMOSが良いですが、高いので最初は惑星カラーカメラでも良いのではとコメントいただきました。早速試して見よう。

後藤光学からこの夏?発売となるMX-HDのデモがありました。
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最新の赤道儀らしく、モーターはハーモニックドライブ、無線LAN内蔵、スマホ操作、音声コントロール可能と今考えられる全てを注ぎ込んだ理想の赤道儀に仕上がっています。
惜しむらくは最大積載重量が7.5kg。ハーモニックドライブでこの大きさなら10kg以上は可能じゃないのかな? 価格を訪ねると、未定ながら50万では売れないとのこと。クルックスも同じ様な値段ですが、音声認識などアドバンテージがあるので発売されたら注目されると思います。


夜の懇親会では星ナビ編集長の川〇さんの講演がありました。
フォトコン選考の裏話と題して、結構突っ込んだ話がありました。
0)選考の方法について
1)プリントは2LかA4どちらが優位か
2)プリンターは顔料が良いか染料が良いか
3)メジャー天体とマイナー天体
4)なぜ星ナビには最優秀がないのか
5)締め切りが20日なのは?
6)掲載金の現金書留ついて
7)表紙掲載について


0)選考方法
 1.まず50枚を選定する(適切な濃度、色、ガイドなど基本的に写真としての基準を満たしているか)
 2.その中から、22枚〜24枚を選ぶが、構図が良かったり、今まで見たこともない星雲や素晴らしい写
   り、その号の特集に合致した写真とかは有利となる。

1)プリントは最低2L以上A4までとなっているので、どちらでも入選する可能性はあるが、A4まで伸ばし
 ても綺麗にみえるクオリティがあることが重要。2Lは縮小されるので当然綺麗にみえる。選考するとき
 はこれを考慮している。(2LとA4の写真で同等の写りならA4が有利)

2)プリンターは顔料か、染料か。
  雑誌への印刷のためのスキャニングは染料の方が綺麗。しかし、染料は色の変化が大きいためベスト
  の状態を維持するのが難しい。選考に際してはどちらが有利とは言えない。

3)メジャー天体とマイナー天体
  マイナー天体は誰も見たことがない、写したことがないので有利。もちろん何これ?では駄目。
  メジャー天体は、当然競合も多いためそれだけでも選ばれるのは難しい。それに加えて過去の入選レ
  ベルも考慮しているので、過去の入選も含めた最高レベルでないとメジャー天体で入選は難しい。

4)星ナビになぜ最優秀がないのか
 星ナビはフォトコンテストではなく、星ナビギャラリーという形式を取っているため最優秀賞はない。
 しかし、星ナビギャラリーの下の写真が最優秀相当であるとのこと。

(会場から意見あり)
 みなフォトコンとして認識している。最優秀があるから天文ガイドに応募すると言う人も多い。
 それに最優秀は2万円+インタビュー記事が半ページもらえる。これは魅力であるから星ナビも是非採
 用して欲しい。

 川〇編集長・・・検討してみます。

5)締め切りが20日なのは?
  昔原稿がアナログだった(時間が掛かる)名残。今は特に特段の理由はない。

(会場より意見)
  月齢の関係で、20日に間に合わない場合があり、その場合天文ガイドに送っている。月末締め切りで
  良いのではないか?
 
 川〇編集長・・・・・そうします。

6)掲載金の現金書留について
 掲載金の受け渡しを今の時代でもかたくなに現金書留にしているのは理由がある。
 家庭を星の撮影のために留守にしているお父さんが星ナビに掲載されて、現金書留の5000円を家族に見
 せてこのお金で寿司を食べに行くとか、お母さんにあげるとか、感謝の気持ちを伝える方が多いと聞い
 ています。なので現金書留はやめません。と。みな感動。賛同する人多数。

7)表紙の掲載について
  星ナビには表紙枠がないが、たまに読者の写真が掲載することがある。その場合の計最近は2万円。
  会場より、表紙枠を作って欲しいと意見あり。
  表紙を見ていただくと分かりますが、上の方に大きく『星ナビ』の文字とその号のトピックス記事が
  あるので、その部分にメインとなる被写体がある写真は駄目です。また縦横比も通常のA4とは異なる
  ため表紙狙いの場合は、通常とは異なる表紙専用のトリミングで応募してください。何なら表紙用と
  星ナビギャラリー用と2種類応募してもOKです。 近いうちに案内するとのことでした。


普通聞けない裏話興味津々で聞きました。

その他

CANPではここでしか会えない友人との再会が楽しみでもあります。
いつもSNSなどでお世話になっている方達と直接話せるのは何よりも楽しみでもありました。

三〇さんと夕食時ご一緒しましたが、いつも三〇さんの天文機材の造詣の深さには敬服します。

来年は倉敷。高校の修学旅行以来です。