毎年恒例の天体写真関係の『〇〇年を振り返って』の機材編です。

 今年もコロナの影響によって外出もままならない状況が続き、遠征するにもできるだけ人に会わないように、距離を取ってという状況でした。結局遠征したのは3回のみ。オミクロン株による感染が増えつつある現在先は見通せないですが、来年は落ち着いてくれないかなと祈っています。

 昨年大型機材等の購入が続いたため、今年はおとなしくしていました(笑)

それでは今年購入した機材たちを紹介します。

1)ε-160ED関連

 昨年8月に購入したε-160EDはEAF電動フォーカサーをトッププレートに固定している関係でε-160ED標準の接眼部回転装置が使えません。回転するためには回転装置付きのカメラアタッチメントを使えば良いのですが、オフアキシステムで運用したいので、しばたさんに以前作って頂いたε-130D用を用います。
 このε-130D用に作られたオフアキシステムはバックフォーカスの制限によりオフアキリングに回転装置を組み込むことが出来ず、下の写真のようにこの角度(筒先から120度方向)で固定となります。(ε-130Dでは筒先に対して0度の方向で固定されます)
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この斜めな角度ではダメなので、バックフォーカスに影響のない接眼部とイプシロン用補正レンズの間にシムリングを挟み角度を変更しています。  シムリングなしでは筒先に対して120度の角度で固定されているので、薄いシムリングを挟んで筒先に対して30度戻して90度にします。また、より厚いシムリングを挟んで120度戻せば筒先に平行となる0度になります。

購入したのは岐阜県関市にある岩田製作所さんのシムリング(真鍮製)です。シムリング
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計算上は、
補正レンズのネジピッチが0.75なので1mm厚のシムリングを挟むと360°×0.75=480°回転します。
30°戻す(90°の位置)ためには、30/480=0.0625mm厚のリング。そして120°戻すためには、
120/480=0.25mm厚のリングを挟めばOKとなるはずです。
残念ながら、シムリングの厚みが、0.05mmが最薄なので、90°にするためには0.0125mm足りません。
とりあえず0.05mmのリングを付けてみました。
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悪くなかったですね。

次に0.25mmのリング(0.05mm+0.2mm)をつけて見ました。
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バッチリでした。

これらのシムを挟むことによってバックフォーカス値を変えないでカメラの固定角度を変えることが出来るようになりました。

ε-160ED+ε-130D用の並列同架プレート

ε-160EDを購入後似たような焦点距離で明るさのε-130Dをどうするか考えていました。使わなくなるのに眠らせておくのももったいないけど、売りに出すには何か使えそうな気もするし....。
以前R200SSやVC200Lを並列同架で使うという妄想をしたことがありますが、2つの望遠鏡の光軸を合わせる調整機構をうまく作れず断念した経緯がありました。
 今回、タカsiさんがK-ASTECさんの340mm長の並列同架プレートを使ってRASA8を2台並列撮影されているのを見て、RASAより小さなε-160EDとε-130D用なら余裕で並列同架出来ると確信し、K-ASTECさんに相談。晴れて購入となりました。
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カメラは今のところML16000と冷却6Dで運用しています。
いずれ6000万画素の冷却CMOSを購入しε-160EDをL専用として、ε-130DをML16000でカラー用とする予定です。

2)GS300RC関連
GS300RC用3インチフォーカサー+フラットナー
 GS300RCを昨年末に購入し、フラットナーは笠井のED屈折・RCマルチフラットナーⅡを購入したものの、2インチ差し込み式の接続なので重い冷却CCDカメラや冷却6Dを支えることは出来ませんでした。
いろいろ吟味した結果、Teleskop serviceの3インチフォーカサー『TSFOCR30S』とフラットナー『TSRCFlat3』を購入することにしました。
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TSFOCR30Sです。40mmの繰り出し量のものです。

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TS社3インチフラットナー『TSRCFlat3』を接眼部にセットしたところ(手前がフラットナー)

そしてこれにML16000を取り付けるための図面がこちら。
スライド1

赤い部分が接続リングです。コスモ工房さんに依頼しました。

領収書接続リング


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接眼部にEAFを取り付けて、ML16000をつけてみました。バッチリです。
スクリーンショット 2021-06-01 22.35.16
試し撮りです。良い感じかな。

GS300RC バッフル用遮光輪
GS300RCの内部のバッフルはやや余裕を持たせた径となっていて、これが逆に迷光によるコントラスト低下の原因となっているとのことでした。僕のRCは通常の筒タイプなのでそこまで問題にならないようですが、トラスタイプのRCの場合は必須アイテムのようです。通常の筒タイプのRCでも少しでもコントラストアップ出来るならとTeleskopServiceにて購入しました。
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実は購入はしたものの、まだ取り付けていません。
購入後並列同架での撮影にはまっていたり、ASAでナロー撮影したりするうちに、彗星が立て続けにやってきてその撮影に追われたのが原因です。取り付け自体は簡単なのですが、折角なら取り付け前後の効果を検証したくて、まずは取り付け前の写真も撮らないと。 そう言っているうちに左腕を怪我して、30cmを持ち上げるどころではなくなりました。これから銀河の季節なのに....完治は3月くらいになりそうです(>_<)

ML8300用接続リング
GS300RCにML8300+標準品のCFW1-5を取り付けるためのアダプターリングをほしぞら工房のしばたさんに作って頂きました。スライド2
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スケアリング調整機構付きの接続リングです。
今更ML8300にと思いましたが、これには裏があります。
ML8300+CFW1-5用のASI6200接続リングを昨年購入していました。(下の写真の黒いリング部分)
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これによって、今はML8300で撮影しますが、いずれASI6200MMを購入した際、すぐに撮影出来ます。
フィルターホイールも手持ちのFLIのものが使えます。



3)改造デジカメ
 
  a)冷却6D
  2015年に市販第1号機として購入した瀬尾さんのSeo-cooled6D(SEO-SP4C)が11月故障しました。
  エラー30が出てシャッターが切れません。(エラー30はシャッターユニットの故障)
  瀬尾さんに相談してなんとか修理してもらえましたが、部品の供給もギリギリだったようなので次に
  故障したら修理は出来なくなりそうです。今回シャッター回数2万回だったのでちょっと故障のタイ
  ミングとしては早いです。シャッターユニット手元にもう一つ置いておいたほうが良いかも。

  b)EOS5DMarkⅡ(SEO-SP4)
  星景写真やカメラレンズでの天体写真に使っていた瀬尾さん改造のEOS5DMarkⅡが11月の月食撮影中に故障しました。1ヶ月以内に2つの改造デジカメが故障するなんて.....今度のエラーは30ではなく20でした。なに?メカ系の故障? ご存じの通りEOS5DMarkⅡはすでに修理対応外となっており、修理が出来ないとのこと。これもシャッター回数は2万回程度のはず。外装も新品同様なのに残念です。
  Cooled6Dの修理の事もありましたので瀬尾さんに相談したところ、6Dの改造機(SEO-SP5)を譲って頂けることになりました。

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4)小物 
2021年中に購入した小物たちです。
・斜鏡用光軸調整ネジ
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斜鏡の傾きに合わせて接地部が傾いてくれるので確実に平面で抑えてくれます。平面部もギザギザになっていてしっかりと固定できます。ASAとGS300RCの両方交換しました。実際調整してみると粘り気のある回転で今までより微調整がし易くなりました。

・GS300RCフラット撮影用LEDトレース板
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GS300RC用にA2の大きさのLEDトレース板(サンワサプライ)を購入しその箱をそのまま使ってフード径に合わせて円形に切りました。ちょっと光が漏れますがASAもこれでフラット撮影します。

・近赤外線用フィルター
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分解能向上と光害地での写りを良くするために近赤外線フィルターが流行っていました。
はじめに安いKENKOのR72フィルターを購入してみましたが、結果は以下のように輝星周りにハロが...(>_<)
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テスト撮影のみでお蔵入りとなりましたが、その後サイトロンジャパンから新しいフィルターが発売となり買い直しました。
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IR640ProⅡ48mmです。
実は買っただけでまだテスト撮影すらやっていません(^_^;)
買っただけでまだ使っていないのはもう一つありました。
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初めてのSⅡフィルターです。12nmとやや広い帯域幅なのが残念ですが、一応12nmのフィルターはHα、OⅢ、SⅡと揃いました。機会をみて撮影してみようと思います。

・スティックPC
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遠征時の配線のスパゲッティ状態をなんとかしたくて購入したスティックPCです。
以前も買いましたが、こちらはCeleron搭載で8GBメモリ、128GB+256GBのSSD、有線LAN、無線LAN、Bluetooth、3.0USB搭載で動作もキビキビしています。



今年は節約の年になりました。
欲しいものと言えばキリがありませんが、来年はASI6200MMが欲しいなと思っています。
でも最近はカラーCMOSのASI6200MCも面白いと言われています。両方買えれば良いのですが、どちらかと言えばやはり白黒のASI6200MMかなと思います。