星仲間より無料のかぶり取りソフト『GraXpert』が結構使えると聞き、早速検証してみました。
Windows版の他、MacOS、Linux版もあります。Mac版があるのはありがたいです。
早速Mac版をインストールしてみました。

起動したところ。
画面左側にボタンがありますが、上から順番にボタンを押していくだけです。
1)Crop on/off (CROP)
2)LOAD IMAGE (画像を開く)
3)Stretch Options(画像強調)4段階調整できます。出力結果には反映されません。
4)Create Grid (自動サンプルグリッド打点) その上のバーは、一列に何個グリッドを打つのか、下の
バーはどのくらいの許容量でグリッドを打つのかを調整します。
5) Interpolation method (補完方法) 3種類あり。今回は一番下のKringingが良かったです。
6)Create Background(処理実行)
7) Saving 保存
処理結果は上の中央にあるタブで、Original、Processed、BackGroundに切り替えることが出来ます。

随分前のラブジョイ彗星の写真です。フラット処理していないのか、かなり周辺減光が目立ちます。
Stretch Optionsで少々強調を掛けています。

最周辺部を少しクロップしました。

グリッドは目一杯の25、トレランスは最初10で行いましたが、中央部の明るい部分を選択してくれなかったので4.0まで上げて、彗星の尾等がグリッドに掛からないよう移動しました。

Interpolation methodを変えて処理した結果です。Krigingは他より倍位時間が掛かりました(約2分)が、最も良かったです。

処理後のBackGroundです。よさげですね。

Processedの画像です。かなり高精度に補正されています。

補正前

補正後
これはかなり使えますね。これで無償なのはありがたいです。
参考までにPixInsightのDBEによるカブリ補正と比較してみました。

PixInsightのDBE画面。

PixInsightのDBE処理後。
GraXpert出処理した画像と比較してみました。

PixInsightと遜色ありません。いいですね。
9/10追加
他の画像でも検証してみました。

ε-130D+冷却6DMark2で撮影したクラゲ星雲付近です。

強調掛けると輝度ムラ、色ムラが多いことが分かります。
Interpolation Methodを変えて処理してみました。

このクラゲ星雲付近の画像は、上記の彗星で結果の良かったKrigingだとムラが多く出てしまいました。他の2つの方がまだ良かったです。Interpolation Methodを変えて試行錯誤するしかないのかもしれません。
ちなみにこの画像も各種補正方法と比較してみました。

左上が原画です。右上がGraXpertのRBF。左下はPixInsightのDBE。そして右下はPsCCによるグラデーションマスク法による用手的なカブリ補正です。
GraXpertは補正が強すぎてクラゲ星雲付近が逆に落ち込んでしまい、逆にM35付近や左下端が明るくなってしまいました。補正の強さが変えられると良いのですが。
PixInsightのDBEの方が良い結果ですが、それでも完璧ではありません。
結局一番良かったのは、従来のPsCCのグラデーションマスク法だったのですが、補正に自分の意思が入るため、消してはいけないものまで消している可能性があります。
結局どれも一長一短ですが、簡単にオートで補正が出来、PixInsightのDBEに匹敵する無償ソフトのGraXpertは良いソフトだと思います。今後バージョンアップによってより使い勝手が良くなる(補正の強さが可変出来る等)といいですね。楽しみです。
2024年4月20日 追加
GraXpertがバージョンアップして2.2.2となり、MethodにAIが加わりました。
このバージョンからPixInsightのプラグインソフトとしても動くようになり、カブリ補正のために一旦PixInsightから離れることもなくなりました。


結果はこちら

以前のバージョンより良くなっています。
比較してみました。

左下が新しいAIを搭載したGraXpertでカブリ補正した画像です。
中心部の落ち込みが軽減されて、上側のカブリも前のバージョンより良く補正されています。
これだけでカブリ補正完了とはなりませんが、かなり良くなっていて仕上げのカブリ補正に掛かる時間も短縮できそうです。
GraXpertのソフト単体でも動きます。
こちらだとAIのほかに、RBFなどの他のMethodも使えます。
でもAIの結果は悪くないのでそのまま使うならPixInsightのプラグインで動かした方が楽です。
このバージョンから、カブリ補正はGraXpertを標準として、ABEやDBEを使わなくなりました。
2024.11.10追加
すっかり標準のカブリ取りソフトとして定着した感のあるGraXpertですが、今回紫金山アトラス彗星ではイマイチナ結果となりました。
先ずは元画像から。

CometAlignmentしてIntegrationしStarXTerminatorで星を消した画像です。かなりムラがあります。
これにGraXpertを実行すると....

周囲のカブリはかなり取れましたが、肝心の彗星の尾まで消えています。
両者をサブトラクションしてみると、

やはり尾まで消されてしまっていますね。これでは使えません。
ABEを複数回実施してある程度のところで妥協し、Psで修正しました。
....マスクしてからGraXpert掛けたら彗星の尾は消されないんじゃないかと、彗星部分のマスクを作り実行してみましたが、結果は同じ。マスクが効いていないです。
結論、彗星のカブリ取りにはGraXpertは向きません。
Windows版の他、MacOS、Linux版もあります。Mac版があるのはありがたいです。
早速Mac版をインストールしてみました。

起動したところ。
画面左側にボタンがありますが、上から順番にボタンを押していくだけです。
1)Crop on/off (CROP)
2)LOAD IMAGE (画像を開く)
3)Stretch Options(画像強調)4段階調整できます。出力結果には反映されません。
4)Create Grid (自動サンプルグリッド打点) その上のバーは、一列に何個グリッドを打つのか、下の
バーはどのくらいの許容量でグリッドを打つのかを調整します。
5) Interpolation method (補完方法) 3種類あり。今回は一番下のKringingが良かったです。
6)Create Background(処理実行)
7) Saving 保存
処理結果は上の中央にあるタブで、Original、Processed、BackGroundに切り替えることが出来ます。

随分前のラブジョイ彗星の写真です。フラット処理していないのか、かなり周辺減光が目立ちます。
Stretch Optionsで少々強調を掛けています。

最周辺部を少しクロップしました。

グリッドは目一杯の25、トレランスは最初10で行いましたが、中央部の明るい部分を選択してくれなかったので4.0まで上げて、彗星の尾等がグリッドに掛からないよう移動しました。

Interpolation methodを変えて処理した結果です。Krigingは他より倍位時間が掛かりました(約2分)が、最も良かったです。

処理後のBackGroundです。よさげですね。

Processedの画像です。かなり高精度に補正されています。

補正前

補正後
これはかなり使えますね。これで無償なのはありがたいです。
参考までにPixInsightのDBEによるカブリ補正と比較してみました。

PixInsightのDBE画面。

PixInsightのDBE処理後。
GraXpert出処理した画像と比較してみました。

PixInsightと遜色ありません。いいですね。
9/10追加
他の画像でも検証してみました。

ε-130D+冷却6DMark2で撮影したクラゲ星雲付近です。

強調掛けると輝度ムラ、色ムラが多いことが分かります。
Interpolation Methodを変えて処理してみました。

このクラゲ星雲付近の画像は、上記の彗星で結果の良かったKrigingだとムラが多く出てしまいました。他の2つの方がまだ良かったです。Interpolation Methodを変えて試行錯誤するしかないのかもしれません。
ちなみにこの画像も各種補正方法と比較してみました。

左上が原画です。右上がGraXpertのRBF。左下はPixInsightのDBE。そして右下はPsCCによるグラデーションマスク法による用手的なカブリ補正です。
GraXpertは補正が強すぎてクラゲ星雲付近が逆に落ち込んでしまい、逆にM35付近や左下端が明るくなってしまいました。補正の強さが変えられると良いのですが。
PixInsightのDBEの方が良い結果ですが、それでも完璧ではありません。
結局一番良かったのは、従来のPsCCのグラデーションマスク法だったのですが、補正に自分の意思が入るため、消してはいけないものまで消している可能性があります。
結局どれも一長一短ですが、簡単にオートで補正が出来、PixInsightのDBEに匹敵する無償ソフトのGraXpertは良いソフトだと思います。今後バージョンアップによってより使い勝手が良くなる(補正の強さが可変出来る等)といいですね。楽しみです。
2024年4月20日 追加
GraXpertがバージョンアップして2.2.2となり、MethodにAIが加わりました。
このバージョンからPixInsightのプラグインソフトとしても動くようになり、カブリ補正のために一旦PixInsightから離れることもなくなりました。


結果はこちら

以前のバージョンより良くなっています。
比較してみました。

左下が新しいAIを搭載したGraXpertでカブリ補正した画像です。
中心部の落ち込みが軽減されて、上側のカブリも前のバージョンより良く補正されています。
これだけでカブリ補正完了とはなりませんが、かなり良くなっていて仕上げのカブリ補正に掛かる時間も短縮できそうです。
GraXpertのソフト単体でも動きます。

こちらだとAIのほかに、RBFなどの他のMethodも使えます。
でもAIの結果は悪くないのでそのまま使うならPixInsightのプラグインで動かした方が楽です。
このバージョンから、カブリ補正はGraXpertを標準として、ABEやDBEを使わなくなりました。
2024.11.10追加
すっかり標準のカブリ取りソフトとして定着した感のあるGraXpertですが、今回紫金山アトラス彗星ではイマイチナ結果となりました。
先ずは元画像から。

CometAlignmentしてIntegrationしStarXTerminatorで星を消した画像です。かなりムラがあります。
これにGraXpertを実行すると....

周囲のカブリはかなり取れましたが、肝心の彗星の尾まで消えています。
両者をサブトラクションしてみると、

やはり尾まで消されてしまっていますね。これでは使えません。
ABEを複数回実施してある程度のところで妥協し、Psで修正しました。
....マスクしてからGraXpert掛けたら彗星の尾は消されないんじゃないかと、彗星部分のマスクを作り実行してみましたが、結果は同じ。マスクが効いていないです。
結論、彗星のカブリ取りにはGraXpertは向きません。
コメント
コメント一覧 (15)
STARNETといい、この天体写真画像処理のGraXpertといい、単機能とはいえ高度な処理を行うアプリが無料で使えるというのはありがたいですね。
一昔前はCCDStackの様な単機能のアプリでも結構な値段でしたので時代の流れを感じます。
撮影ソフトでもNINAなどは無料で使えるようですし、少しだけ英語が理解できればそんなにお金をかけずに天体写真の撮影から処理までのプロセスが確立できそうです。
ありがたい時代ですね。
自分もGraXpertをDLして使ってみます。PIを持っていない人に進めてみようかと。
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
StarNetもそうでしたね。高機能のソフトが無料で使えるのはありがたいです。性能はPI並ですが、PIのDBEより設定が簡単に感じます。
PIやPsCCのプラグインになってくれると嬉しいですけど。
冷却CMOSカメラ出の撮影ソフトにN.I.N.Aを使う様になりました。まだ全機能が使えないのですが、良いソフトですね。そのうちMaximDLやめてN.I.N.Aにするかもしれません。
のんた
が
しました
私の場合も、ピクスインサイトでABEで殆どのかぶり処理は完了してしまいます。
私はDBEでなくABE使いでDBEは数回しか使ったことがありません。
ABEはDBEに比べて使用法は簡単ですが、暗い空だとFUNCTION DEGREEを1に
設定するだけで大抵の場合は上手く補正できますが、問題は光害が残る撮影場所だと
FUNCTION DEGREEの値を試行錯誤することが多いです。
是非、試してみたいです。
あっ、その前にDBE使った方が良いのかなぁ💦
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
僕はPixInsightのABEとDBE両方使っています。最初に傾斜カブリをABEのFUNCTION DEGREE(FD) 1 で補正して、補正しきれない場合、FDを3−5に可変して実行してみます。それでもうまくいかないようならDBEで実行って感じです。自宅での撮影は数日に渡る撮影で鏡筒方向も時間によって異なるため光害カブリが複雑なので、試行錯誤で良い結果を探しています。GraXpertは、PIのDBEのようでDBEより簡単です。それでいて同等の効果があります。
どちらにせよ完璧に補正は出来ないので最終的にはPsCCのグラデーションマスクによるカブリ補正を行いますが、最初からPsでやるのと比べると労力が桁違いにラクです。
のんた
が
しました
このソフトGraXpertといいAPTなど天体海外ソフト無料とはありがたいです。
カブリ処理は結構大変なので今度試してみたいと思います意外と星景写真
のワンショット撮影の処理に使えそうかな?
まずは素材の撮影をしなくては(笑)
QHY明日には委託先に届くと連絡来たので今月間に合いそうです。
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
最近海外製の天体処理ソフト良いのが目白押しですね。特にStarNetやこのGraXpertのように無料なんですよね。
星景写真にも使えそうですよ。ちょっと過補正になりがちなのでPsで修正が必要ですが、それでもありとなしでは大違いです。
カメラ修理完了早まりそうで良かったですね。僕は今月末仕事の関係で遠征にいけません(>_<) 来月都合が合えばご一緒しましょう。
のんた
が
しました
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
自分の使っているPCは Macは10.15.7、Windowsは10と11です。MacOS11は動かないんですか? 10年前のMacBookPro2012で画像処理しています。
このMacではこのOSが最終なのでインストールできません。いい加減新しいマック欲しい所なんですが.....OS11以降は動作しないんですね。
のんた
が
しました
MacOS11ではダメみたいなので、MacOS10.15を別のPCに入れて使いたいと思います。
のんた
が
しました
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
僕もWindows11にインストール(ダウンロードして起動)してみましたが、特に問題ありませんでした。どうしてでしょうね。
のんた
が
しました
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
処理結果を見ながらパラメータを変化させて試行錯誤する必要がありますが、このGraXpert無料なのに結構いいかんじで補正してくれます。
でも最終的にはPsのグラデーションマスクで補正しないとダメですね。
それでも最初からPsでやるのとは労力が段違いなので使ってみて下さい。
のんた
が
しました
このGraXpertの記事は初めて拝見しましたが苦労されていますね。
彗星はバックグランドレベルに近いところを焙り出そうしますので、バックの色ムラなどがとても目立ちます。
また何か良い情報が有りましたらお教えください。
私は今のところBDE一本です。
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
GraXpertは殆どの場合で期待する効果が得られるのですが、彗星に関しては全くダメでした。マスクが効いてくれればと思って試したのですが、全く効果なし。
他にもABEやvoyager_camerさんが使ってみえるDBE、ステライメージ、CCDStack2等で試行錯誤して少しでもカブリを抑えた後、最終的にはPsのグラデーションマスクによるカブリ補正で修正するしかないかなと思っています。
のんた
が
しました