来年の話で恐縮ですが、2024年10月に0等台まで明るくなると予報された新彗星C/2023 A3(Tsuchinshan-ATLAS) が発見されました。



3/4本日の位置はこちら。まだ土星と木星軌道の間にいて、17.8等とのこと。核が大きく近日点(2024年9月28日)距離が0.4AU弱であることから、崩壊しなければかなり明るくなると考えられます。
残念なことに、近日点付近の彗星の位置は南半球側にいて北半球からは見ることが出来ません。

近日点時の彗星の位置
そして近地点(2024年10月13日)時の位置は....

地球と太陽を重ねて、彗星との離角が分かるようにしました。
近地点通過頃、太陽と地球の間を彗星が北上するように通るため、太陽との見かけ上の離角は少ないままです。
ただ、太陽と地球の間を通過するとき前方散乱によって予報光度を上回る-5等になる可能性があると言われています。さらに残念なことにその頃上弦過ぎの月が。それに打ち勝つだけの明るさになってくれると良いのですが。
この後暗くなっていきますが、どんどん高度が上がるので見やすくなります。22日頃には月が昇る前の18時30分頃闇夜で撮影が出来ます。

2024年10月22日(火曜日)18時30分頃の西の空
暗くなったと言ってもまだ2.6等星の明るさです。
ステラナビゲータ11にて。
22日〜27日(3.7等)位がシャッターチャンスかなと思います。
ちなみに近日点通過直後の9月末は明け方で見ることが出来ますが超低空です。

2024年9月30日4時00分の東の空
彗星の明るさは0.6等ですが光度が2-3度しかありません。それに薄明開始20分後でこの高度ですので厳しいですね。
近日点直後なので地平線低くまで開けた場所で透明度が良ければ、雄大な尾が見られるかもしれませんね。
まだ1年半以上先の事なのですが、久しぶりの本当の意味での肉眼彗星。前回のネオワイズのような梅雨時ではなく10月の天気の安定した透明度の良い時期なので楽しみに待ちたいと思います。
2023年5月18日追記
最大光度の1年半前(2023年5月17日)の姿です。

C2023A3
撮影日時:2023年5月17日21時52分〜
撮影場所:岐阜県土岐市自宅観測所
望遠鏡:ASA10N(950mm F3.8)
コレクター:ビクセンExtenderPH(1330mm F5.3)
カメラ:ASI2600MCPro -10℃ Gain100、Offset50
赤道儀:AXD赤道儀
ガイド:SX-Superstar+PHD2+N.I.N.A.にてオフアキシスガイド
露光:5分×8枚 40分
処理:PixInsightにてWBPP。CometAlignmentにて彗星核基準アライメント。rejectなしでインテグレーション。ABE、MS、AS、HT。PsCCにてローカルコントラスト調整、ノイズ処理。
微かに緑色のコマがあるようにも見えますが、まだまだ小さく暗いです(この時点で16.9等)
追記
2024年9月16日
肉眼彗星になると期待の紫金山-アトラス彗星C/2023A3ですが、情報が交錯しています。
2024年5月以降7月まで光度が10等台と停滞して先行きが危ぶまれていました。

紫金山-アトラス彗星(C2023 A3)
撮影日時:2024年6月3日21時23分〜
撮影場所:岐阜県土岐市 自宅観測所
望遠鏡:笠井トレーディング GS300RC 2440mm F8
コレクター:TS-Optics TSRCFlat3 2440mm F8
カメラ:FLI ML16000 -25℃
フィルター:Astrodon Gen-2 Tru-Blance E-Series RGB Filters
赤道儀:Vixen AXD赤道儀
ガイド:ノータッチガイド
露光:R2分×8枚、G2分×8枚、B2分×8枚 (すべて2bin)
彗星の研究者によると、すでに崩壊に向かっており、明るくならないというショッキングな予想をされていて、11年前のアイソン彗星、4年ほど前のアトラス彗星を思い出しました。
ところが、9月になると南半球で観測された明るい彗星の姿(5.5等)が検出され、崩壊せず無事に明るく成長していました。(彗星は水物と言いますが、予想は難しいですね)
9月中旬になるとさらに驚くべき予想が出されました。10月9日に-6.9等になるかもしれないと.....ホントかいな。ここまで来るとにわかには信じられませんが、信じたいですよね。
そうなると9月末〜10月一杯は万全の撮影体制を取らねばなりません。特に彗星の見え方は明け方と夕方では天と地ほどの違いがあり、明け方の方が何倍も見栄えが良いです。9月29日に夜明け前の光度が10°以下という悪条件ではありますが、マイナス等級であれば期待できると思っています。9月29日の前後2日は晴れたら撮影にと思っています。
そ10月3−4日以後は夕方に回ってきますが、実際みえるようになるのは10月13日以降です。残念ながら満月期と重なっていますが、彗星の位置が月の180°反対側になること、うまくいけば−3等台という金星並の明るさになる事から期待せざるを得ません。月の影響がなくなるのが10月19日頃〜になります。
その時の彗星の光度は2等台。まだまだ明るいし、日没後の光度も高くなるので見栄えはわるくないのではと思います。
まあどちらにせよ晴れたら連日撮影ですね。楽しみです。
・・・彗星は水物......えっ?マジ?ってならないことを祈りましょう。
10月2日更新
今年の夏は暑く長かったですね。10月だというのに今だ最高気温が30度越え。いつまで夏なんだろうって感じです。それに伴って秋雨前線の影響が長引き、未だにスカッとした空をおがめられず、10月1日なのに撮影出来ずにいました。

10月に入って彗星の明るさは最大2等だったのですが0-1等台まで増光しています。
明け方の空で見ることが可能な3日まで日がありません。ヤキモキしていましたが、10/2ようやく晴れてくれたので近くの東濃牧場に行きました。

右下に尾だけが写っています。この時点では見つけられずでした。

かなり明るくなってからの撮影でしたが、それでもかすかに長い尾が写っていました。
写真では写りましたが、極低空のため肉眼では見つけられませんでした。
それでも写真に写った尾の長さはかなりのものなので、10月半ば以降は長大な尾を見せてくれると信じています。
10月9日追加



SOHOに写り込んだ紫金山アトラス彗星
かなり明るいですね。マイナス等級に突入したようです。10月10日ごろからミー散乱で-4等位まで明るくなりそうな予報が出ています。長くは続かないので12日ごろ撮影に挑戦してみようと思います。
追加
2024年10月26日
近日点を通過し夕方に回った紫金山アトラス彗星は期待通り-5等まで明るくなりました。
日本からみえるようになったのは10月11日。13日には近地点を通過。日に日に高度があがり、20日からは月のない空で撮影が可能となりました。残念だったのは今年の異常気象により未だに秋雨前線が活発で天気が安定しないことです。10月末だというのに青空を拝めたのはここ1ヶ月で7−8日のみでした。
晴れたら撮影でしたが、11日〜26日(本日)までに5日しか晴れませんでした。(10月ならスカッとした快晴を期待していたのに....)

10月13日の紫金山アトラス彗星
アポゾナー135mmF2→3.2 1/2秒×8枚 ISO1600

10月21日の紫金山アトラス彗星
アポゾナー135mmF2→3.2 10秒×56枚 ISO1600

10月21日 iPhone16Proで手持ち撮影。
スマホで、それも手持ち撮影で写るんですね。凄いです。

10月26日の紫金山アトラス彗星 自宅にて この頃4等台。
高度が上がり、自宅から撮影出来るようになってきました。
ASA10N+ASI6200MMPro(900mmf3.6)
11月3日の紫金山アトラス彗星 自宅にて
この時点で6等台。随分暗くなりました。

12月3日の紫金山アトラス彗星 自宅にて
近日点から2ヶ月ちょっと経ち随分暗くなってしまいました。この時の明るさは9等台

12月3日の撮影の様子。随分高度が下がってきました。電線はあるし、西の空は明るいし。条件は最悪です。
最初に撮影したのが2023年5月。そこから約1年と7ヶ月楽しませてくれました。
予想に反して大彗星になったのは良かったのですが、最盛期の10月は例年になく悪天候続きで満足した写真が撮れなかったのが悔やまれます。(天候不順の予報にもかかわらず、暗い所へ遠征して素晴らしい写真を撮られた諸先輩方の行動力に感服です。曇る予報でも遠征しないとダメですね)
さて、次の大彗星はいつになるでしょうか....。



3/4本日の位置はこちら。まだ土星と木星軌道の間にいて、17.8等とのこと。核が大きく近日点(2024年9月28日)距離が0.4AU弱であることから、崩壊しなければかなり明るくなると考えられます。
残念なことに、近日点付近の彗星の位置は南半球側にいて北半球からは見ることが出来ません。

近日点時の彗星の位置
そして近地点(2024年10月13日)時の位置は....

地球と太陽を重ねて、彗星との離角が分かるようにしました。
近地点通過頃、太陽と地球の間を彗星が北上するように通るため、太陽との見かけ上の離角は少ないままです。
ただ、太陽と地球の間を通過するとき前方散乱によって予報光度を上回る-5等になる可能性があると言われています。さらに残念なことにその頃上弦過ぎの月が。それに打ち勝つだけの明るさになってくれると良いのですが。
この後暗くなっていきますが、どんどん高度が上がるので見やすくなります。22日頃には月が昇る前の18時30分頃闇夜で撮影が出来ます。

2024年10月22日(火曜日)18時30分頃の西の空
暗くなったと言ってもまだ2.6等星の明るさです。
ステラナビゲータ11にて。
22日〜27日(3.7等)位がシャッターチャンスかなと思います。
ちなみに近日点通過直後の9月末は明け方で見ることが出来ますが超低空です。

2024年9月30日4時00分の東の空
彗星の明るさは0.6等ですが光度が2-3度しかありません。それに薄明開始20分後でこの高度ですので厳しいですね。
近日点直後なので地平線低くまで開けた場所で透明度が良ければ、雄大な尾が見られるかもしれませんね。
まだ1年半以上先の事なのですが、久しぶりの本当の意味での肉眼彗星。前回のネオワイズのような梅雨時ではなく10月の天気の安定した透明度の良い時期なので楽しみに待ちたいと思います。
2023年5月18日追記
最大光度の1年半前(2023年5月17日)の姿です。

C2023A3
撮影日時:2023年5月17日21時52分〜
撮影場所:岐阜県土岐市自宅観測所
望遠鏡:ASA10N(950mm F3.8)
コレクター:ビクセンExtenderPH(1330mm F5.3)
カメラ:ASI2600MCPro -10℃ Gain100、Offset50
赤道儀:AXD赤道儀
ガイド:SX-Superstar+PHD2+N.I.N.A.にてオフアキシスガイド
露光:5分×8枚 40分
処理:PixInsightにてWBPP。CometAlignmentにて彗星核基準アライメント。rejectなしでインテグレーション。ABE、MS、AS、HT。PsCCにてローカルコントラスト調整、ノイズ処理。
微かに緑色のコマがあるようにも見えますが、まだまだ小さく暗いです(この時点で16.9等)
追記
2024年9月16日
肉眼彗星になると期待の紫金山-アトラス彗星C/2023A3ですが、情報が交錯しています。
2024年5月以降7月まで光度が10等台と停滞して先行きが危ぶまれていました。

紫金山-アトラス彗星(C2023 A3)
撮影日時:2024年6月3日21時23分〜
撮影場所:岐阜県土岐市 自宅観測所
望遠鏡:笠井トレーディング GS300RC 2440mm F8
コレクター:TS-Optics TSRCFlat3 2440mm F8
カメラ:FLI ML16000 -25℃
フィルター:Astrodon Gen-2 Tru-Blance E-Series RGB Filters
赤道儀:Vixen AXD赤道儀
ガイド:ノータッチガイド
露光:R2分×8枚、G2分×8枚、B2分×8枚 (すべて2bin)
彗星の研究者によると、すでに崩壊に向かっており、明るくならないというショッキングな予想をされていて、11年前のアイソン彗星、4年ほど前のアトラス彗星を思い出しました。
ところが、9月になると南半球で観測された明るい彗星の姿(5.5等)が検出され、崩壊せず無事に明るく成長していました。(彗星は水物と言いますが、予想は難しいですね)
9月中旬になるとさらに驚くべき予想が出されました。10月9日に-6.9等になるかもしれないと.....ホントかいな。ここまで来るとにわかには信じられませんが、信じたいですよね。
そうなると9月末〜10月一杯は万全の撮影体制を取らねばなりません。特に彗星の見え方は明け方と夕方では天と地ほどの違いがあり、明け方の方が何倍も見栄えが良いです。9月29日に夜明け前の光度が10°以下という悪条件ではありますが、マイナス等級であれば期待できると思っています。9月29日の前後2日は晴れたら撮影にと思っています。
そ10月3−4日以後は夕方に回ってきますが、実際みえるようになるのは10月13日以降です。残念ながら満月期と重なっていますが、彗星の位置が月の180°反対側になること、うまくいけば−3等台という金星並の明るさになる事から期待せざるを得ません。月の影響がなくなるのが10月19日頃〜になります。
その時の彗星の光度は2等台。まだまだ明るいし、日没後の光度も高くなるので見栄えはわるくないのではと思います。
まあどちらにせよ晴れたら連日撮影ですね。楽しみです。
・・・彗星は水物......えっ?マジ?ってならないことを祈りましょう。
10月2日更新
今年の夏は暑く長かったですね。10月だというのに今だ最高気温が30度越え。いつまで夏なんだろうって感じです。それに伴って秋雨前線の影響が長引き、未だにスカッとした空をおがめられず、10月1日なのに撮影出来ずにいました。

10月に入って彗星の明るさは最大2等だったのですが0-1等台まで増光しています。
明け方の空で見ることが可能な3日まで日がありません。ヤキモキしていましたが、10/2ようやく晴れてくれたので近くの東濃牧場に行きました。

右下に尾だけが写っています。この時点では見つけられずでした。

かなり明るくなってからの撮影でしたが、それでもかすかに長い尾が写っていました。
写真では写りましたが、極低空のため肉眼では見つけられませんでした。
それでも写真に写った尾の長さはかなりのものなので、10月半ば以降は長大な尾を見せてくれると信じています。
10月9日追加



SOHOに写り込んだ紫金山アトラス彗星
かなり明るいですね。マイナス等級に突入したようです。10月10日ごろからミー散乱で-4等位まで明るくなりそうな予報が出ています。長くは続かないので12日ごろ撮影に挑戦してみようと思います。
追加
2024年10月26日
近日点を通過し夕方に回った紫金山アトラス彗星は期待通り-5等まで明るくなりました。
日本からみえるようになったのは10月11日。13日には近地点を通過。日に日に高度があがり、20日からは月のない空で撮影が可能となりました。残念だったのは今年の異常気象により未だに秋雨前線が活発で天気が安定しないことです。10月末だというのに青空を拝めたのはここ1ヶ月で7−8日のみでした。
晴れたら撮影でしたが、11日〜26日(本日)までに5日しか晴れませんでした。(10月ならスカッとした快晴を期待していたのに....)

10月13日の紫金山アトラス彗星
アポゾナー135mmF2→3.2 1/2秒×8枚 ISO1600

10月21日の紫金山アトラス彗星
アポゾナー135mmF2→3.2 10秒×56枚 ISO1600

10月21日 iPhone16Proで手持ち撮影。
スマホで、それも手持ち撮影で写るんですね。凄いです。

10月26日の紫金山アトラス彗星 自宅にて この頃4等台。
高度が上がり、自宅から撮影出来るようになってきました。
ASA10N+ASI6200MMPro(900mmf3.6)

11月3日の紫金山アトラス彗星 自宅にて
この時点で6等台。随分暗くなりました。

12月3日の紫金山アトラス彗星 自宅にて
近日点から2ヶ月ちょっと経ち随分暗くなってしまいました。この時の明るさは9等台

12月3日の撮影の様子。随分高度が下がってきました。電線はあるし、西の空は明るいし。条件は最悪です。
最初に撮影したのが2023年5月。そこから約1年と7ヶ月楽しませてくれました。
予想に反して大彗星になったのは良かったのですが、最盛期の10月は例年になく悪天候続きで満足した写真が撮れなかったのが悔やまれます。(天候不順の予報にもかかわらず、暗い所へ遠征して素晴らしい写真を撮られた諸先輩方の行動力に感服です。曇る予報でも遠征しないとダメですね)
さて、次の大彗星はいつになるでしょうか....。
コメント
コメント一覧 (4)
薄明後20分はキツイですね。2013年のパンスターズ彗星を思い出します。
水蒸気が多い日本だと苦しいか・・かといって、夕方の彗星はやはり期待できないし、まあ、なんというか、またまた残念な大彗星となりそう・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。また条件は南半球の方が良いんです。でも-5等になってくれれば.....たらればですね(^_^;
夕方なので西の開けた暗い場所探さないと。東側は結構あるのですが、西側はなかなかないんすよね。
のんた
が
しました
のんた
が
しました
コメントありがとうございます。
調べてみると2024年10月12日に地球に最も近づきますが、その距離は0.473 AUです。その時の光度は-0.1等と予報されています。
期待できそうです。
のんた
が
しました