毎年恒例の『〇〇年を振り返って〜機材編〜』の2023年版です。
今年は今までで一番質素な年になりました。
望遠鏡の更新や追加購入はなく、小物ばかりとなりました。
1)メインPCの買い換え
今年2月に画像処理PCを何年かぶりに更新しました。
撮影PCは、Windows機を使っていますが、メインPCは25年来使い続けているMacです。
最初のPCはデスクトップでした(最初のMacは今では懐かしいMac互換機のUMAX Pulsar 2250でした)が、その後は機動性のよいノートタイプのPowerBookG3Pismo、初代MacBookPro、2010、2012を2台引き継いできました。そのMacBookProも2012年製の第3世代のCorei7 2.7GHz、16GB RAMと非力なため、PIの処理も時間が掛かかりストレスに感じていたので、2021年頃から真剣に買い換えを検討していました。
その頃MacのCPUはインテル製からアップルシリコンへの切り替えアナウンスがあり、初代M1が発売されていました。インテル製のCPUを積んでいた頃は、BOOTCAMPによってネイティブにWindowsが動かせたり、仮想ソフト(Parallels Desktop For Mac)により、ネイティブ動作に近い速度と互換性をもってWindowsソフトが使えていました。
しかし、CPUがアップルシリコンとなると動作させられるWindowsはARM版限定となり、インテル版のWindowsは動作しませんし、ARM版のWindows上ではインテルに最適化されたソフトは、動作しないか、動作したとしても速度的にもかなり劣り、安定性も良くないとのことでした。
画像処理を行う上で絶対必要なソフトは、PixInsightとPhotoshopです。他にはFlatAideProやステライメージ9、RAP2、CCDStack2、AstellaImage等がありますが、これらはMac版がないため、Windows上でしか動作しません。この際、WindowsPCにすれば良いのではと頭をかすめましたが、今までずーとMacをメインとして使ってきた事もあり、やはりMacが欲しいと考えていました。
メインで使う天体処理ソフトのなかでPhotoshopはすでにアップルシリコンにネイティブ対応が出来ています。でもPixInsightはインテルCPUに最適化されたMacソフトのままで、これをアップルシリコン(M1)で動作させるためには、Rosettaとよばれるエミュレーションモードで動作させる必要があります。そうなると、当時(2021年末頃)のアップルシリコンの中で最速だったM1MAXをもってしても、動作速度は期待できない可能性がありました。(実際比較できたわけではないので詳細は不明ですが、インテル最終モデルのMacBookPro2019 2.4GHz、8コアCorei9よりも遅いかもしれない)
それにMacBook Pro2021M1MAX 2TBSSD、64GBRAMを選択すると70万を超えます。とてもじゃないけど買える額ではないです。 総合的に考えて、今はアップルシリコンCPUを積んだMacBook Proではなく、敢えてインテルCPUを積んだMacBook Pro2019を購入することにしました。
何れPixInsightがアップルシリコンにネイティブ対応したら買い換えを検討します。
長くなりましたが、新たにといっても中古ですが希望に合うMacを購入しました。
左が新しく購入したMacBook2019(16インチ、Corei9 8コア2.4GHz、64GB RAM、4TB SSD)です。
右側がMacBookPro2012です。
購入して10ヶ月が経過しましたが、特にトラブルもなく動作しています。今となっては旧世代のPCですが、今までと比べてPixInsightのキャリブレーションも格段に速くなって満足です。
2)ASA用内径拡大接続リング
ASA10Nのコレクターは3インチ(74mm)あるのですが、接続リングは内径が50mmと小さいため、
コレクターの径を生かせず、フルサイズセンサーのカメラで撮影すると周辺減光がかなり酷く気になっ
ていました。
50mmφの接続リングによるフルサイズセンサーのフラット画像。
周辺減光がかなり酷いです。
そこでほしぞら工房のしばたさんにASA用に内径を拡大したリングを作って頂きました。
ASA用の内径が56mmφに拡張したリングとCFW1-5もそれに合わせて60mmφに拡大しています。
右側が50mmφのリング、左が56mmφのASA用接続リングです。かなり径が違います。
これで撮影したら.....
周辺減光は改善されたのですが、以下のような迷光が。
CFWの開口径を大きくしすぎて、他のフィルターからの迷光が入り込んでしまいました。
迷光対策として、黒のテープを拡大したCFWの蓋の裏側に貼って迷光が入り込まないようにしました。
まだ完全ではありませんが、フラットでなんとか補正できる程度まで改善しました。
3)ステラナビゲータ12
機材ではないのですが、2023年3月久しぶりにメジャーアップデートされたステラナビゲータが12となってじたくに届きました。
言わずと知れた天体シミュレーションソフトです。撮像ソフトをMaximDLからN.I.N.A.に変更しましたが、使い勝手の良さから天体自動導入はこれとN.I.N.A.と連動させてプレートソルブしています。
今回マイナーな天体が多数登録されているのでありがたいバージョンアップです。
4)プリンター更新
12年位使い続けていたCanon MG8320が突然お亡くなりになりました。
実は2022年位から調子が悪く、色味が変だったり細かな線が入るようになっていたので、買い換えようかなと思っていました。天文雑誌への投稿もこれで印刷してきました。顔料インクを使うPro-10SとかのA3プリンターも考えましたが、天体以外の用途(コピー機能)も考えて今回もA4複合機にしました。
機種は同じメーカーのA4複合機のハイエンド機種のXK500です。発売後1年以上経っていたので新しい機種が出るかもと心配でしたが、そんなことも言ってられません(笑)
早速天体写真を印刷してみると、流石最新機種。色も調子もバッチリでした。今まで苦労していたのがなんだったのかと思うほど一発でOKでした。
5)後方アプローチ型スケアリング調整機構付きASI2600+CFW1-5接続テーパーリング
長たらしい名前ですが、CFW1-5とASI2600カメラを接続するテーパーリングをカメラを望遠鏡に取り付けたままスケアリング調整出来るようにしたものです。
届いたものはこちら
CFW1-5を取り付ける側
ASI2600を取り付ける側
ASI2600の接続リングを外して...
ASI2600に後方アプローチ側のスケアリング調整機構付きテーパーリングをネジ止めします。
CFW1-5を取り付けル側
ASI2600を取り付けて裏側から見た図。
このネジ(対角線に4つ)でスケアリングを合わせます。
6)後方アプローチ型スケアリング調整機構付きASI2600カメラ用のEFマウントアダプターリング
こちらも長たらしい名前ですが、用は上の後方アプローチ型スケアリング調整機構付きのASI2600カメ
ラにEFマウントレンズを取り付けられるものです。
これもほしぞら工房さんに作って頂きました。
届いたものはこちら
これで手持ちの望遠鏡やカメラレンズに取り付けて撮影出来るようになりました。
あとはASI6200シリーズを購入すれば完成です。いつになるやら....。
7)C9.25XLTの補正板の汚れ
惑星用の望遠鏡C9.25XLTの補正板に液が垂れたような汚れが付いていました。
拭いてみると取れません.....? 補正板の内側に付いているようです。
前の持ち主のninzyaさんに話を聞くと、以前にも同じような事があったそうです。
鏡筒を立てて置いていたのが原因かなと思います。
仕方なく補正板を外します。
補正板を外したところ。
水道水で手洗いして、最後は蒸留水で洗い流して....
風通しの良い場所で干します。
元に戻しました。きれいになりましたね。
後は光軸調整のみです。
カセグレン望遠鏡の補正板を外したのは初めてだったのでちょっと怖かったのですがなんとかなりました。
今年は大物の買い物は一つもなく、とても質素な年になりました。
来年以降欲しいものと言えば..... より欲しいものから順番に書きます。
1)FLI CFW2-7(50mmφ7枚フィルターホイール)
2)TS-Optics TSRCRed(GS300RC用の0.8倍レデューサー)
3)ZWO ASI6200MMPro (フルサイズ冷却白黒CMOSカメラ)
4)ZWO ASI6200MCPro(フルサイズ冷却カラーCMOSカメラ)
5)ZWO AM5(ハーモニック赤道儀)
6) Planwave L-500(片持ち据え置き赤道儀)
7)GS400RC・TR(40cmリッチークレチアン望遠鏡)
8)リモート天文台(日本の暗い場所・または海外)
6以降は多分一生掛かっても実現しないかな。でも宝くじが当たれば.....(笑)
今年もご訪問ありがとございました。
またコメント下さった方ありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
今年は今までで一番質素な年になりました。
望遠鏡の更新や追加購入はなく、小物ばかりとなりました。
1)メインPCの買い換え
今年2月に画像処理PCを何年かぶりに更新しました。
撮影PCは、Windows機を使っていますが、メインPCは25年来使い続けているMacです。
最初のPCはデスクトップでした(最初のMacは今では懐かしいMac互換機のUMAX Pulsar 2250でした)が、その後は機動性のよいノートタイプのPowerBookG3Pismo、初代MacBookPro、2010、2012を2台引き継いできました。そのMacBookProも2012年製の第3世代のCorei7 2.7GHz、16GB RAMと非力なため、PIの処理も時間が掛かかりストレスに感じていたので、2021年頃から真剣に買い換えを検討していました。
その頃MacのCPUはインテル製からアップルシリコンへの切り替えアナウンスがあり、初代M1が発売されていました。インテル製のCPUを積んでいた頃は、BOOTCAMPによってネイティブにWindowsが動かせたり、仮想ソフト(Parallels Desktop For Mac)により、ネイティブ動作に近い速度と互換性をもってWindowsソフトが使えていました。
しかし、CPUがアップルシリコンとなると動作させられるWindowsはARM版限定となり、インテル版のWindowsは動作しませんし、ARM版のWindows上ではインテルに最適化されたソフトは、動作しないか、動作したとしても速度的にもかなり劣り、安定性も良くないとのことでした。
画像処理を行う上で絶対必要なソフトは、PixInsightとPhotoshopです。他にはFlatAideProやステライメージ9、RAP2、CCDStack2、AstellaImage等がありますが、これらはMac版がないため、Windows上でしか動作しません。この際、WindowsPCにすれば良いのではと頭をかすめましたが、今までずーとMacをメインとして使ってきた事もあり、やはりMacが欲しいと考えていました。
メインで使う天体処理ソフトのなかでPhotoshopはすでにアップルシリコンにネイティブ対応が出来ています。でもPixInsightはインテルCPUに最適化されたMacソフトのままで、これをアップルシリコン(M1)で動作させるためには、Rosettaとよばれるエミュレーションモードで動作させる必要があります。そうなると、当時(2021年末頃)のアップルシリコンの中で最速だったM1MAXをもってしても、動作速度は期待できない可能性がありました。(実際比較できたわけではないので詳細は不明ですが、インテル最終モデルのMacBookPro2019 2.4GHz、8コアCorei9よりも遅いかもしれない)
それにMacBook Pro2021M1MAX 2TBSSD、64GBRAMを選択すると70万を超えます。とてもじゃないけど買える額ではないです。 総合的に考えて、今はアップルシリコンCPUを積んだMacBook Proではなく、敢えてインテルCPUを積んだMacBook Pro2019を購入することにしました。
何れPixInsightがアップルシリコンにネイティブ対応したら買い換えを検討します。
長くなりましたが、新たにといっても中古ですが希望に合うMacを購入しました。
左が新しく購入したMacBook2019(16インチ、Corei9 8コア2.4GHz、64GB RAM、4TB SSD)です。
右側がMacBookPro2012です。
購入して10ヶ月が経過しましたが、特にトラブルもなく動作しています。今となっては旧世代のPCですが、今までと比べてPixInsightのキャリブレーションも格段に速くなって満足です。
2)ASA用内径拡大接続リング
ASA10Nのコレクターは3インチ(74mm)あるのですが、接続リングは内径が50mmと小さいため、
コレクターの径を生かせず、フルサイズセンサーのカメラで撮影すると周辺減光がかなり酷く気になっ
ていました。
50mmφの接続リングによるフルサイズセンサーのフラット画像。
周辺減光がかなり酷いです。
そこでほしぞら工房のしばたさんにASA用に内径を拡大したリングを作って頂きました。
ASA用の内径が56mmφに拡張したリングとCFW1-5もそれに合わせて60mmφに拡大しています。
右側が50mmφのリング、左が56mmφのASA用接続リングです。かなり径が違います。
これで撮影したら.....
周辺減光は改善されたのですが、以下のような迷光が。
CFWの開口径を大きくしすぎて、他のフィルターからの迷光が入り込んでしまいました。
迷光対策として、黒のテープを拡大したCFWの蓋の裏側に貼って迷光が入り込まないようにしました。
まだ完全ではありませんが、フラットでなんとか補正できる程度まで改善しました。
3)ステラナビゲータ12
機材ではないのですが、2023年3月久しぶりにメジャーアップデートされたステラナビゲータが12となってじたくに届きました。
言わずと知れた天体シミュレーションソフトです。撮像ソフトをMaximDLからN.I.N.A.に変更しましたが、使い勝手の良さから天体自動導入はこれとN.I.N.A.と連動させてプレートソルブしています。
今回マイナーな天体が多数登録されているのでありがたいバージョンアップです。
4)プリンター更新
12年位使い続けていたCanon MG8320が突然お亡くなりになりました。
実は2022年位から調子が悪く、色味が変だったり細かな線が入るようになっていたので、買い換えようかなと思っていました。天文雑誌への投稿もこれで印刷してきました。顔料インクを使うPro-10SとかのA3プリンターも考えましたが、天体以外の用途(コピー機能)も考えて今回もA4複合機にしました。
機種は同じメーカーのA4複合機のハイエンド機種のXK500です。発売後1年以上経っていたので新しい機種が出るかもと心配でしたが、そんなことも言ってられません(笑)
早速天体写真を印刷してみると、流石最新機種。色も調子もバッチリでした。今まで苦労していたのがなんだったのかと思うほど一発でOKでした。
5)後方アプローチ型スケアリング調整機構付きASI2600+CFW1-5接続テーパーリング
長たらしい名前ですが、CFW1-5とASI2600カメラを接続するテーパーリングをカメラを望遠鏡に取り付けたままスケアリング調整出来るようにしたものです。
届いたものはこちら
CFW1-5を取り付ける側
ASI2600を取り付ける側
ASI2600の接続リングを外して...
ASI2600に後方アプローチ側のスケアリング調整機構付きテーパーリングをネジ止めします。
CFW1-5を取り付けル側
ASI2600を取り付けて裏側から見た図。
このネジ(対角線に4つ)でスケアリングを合わせます。
6)後方アプローチ型スケアリング調整機構付きASI2600カメラ用のEFマウントアダプターリング
こちらも長たらしい名前ですが、用は上の後方アプローチ型スケアリング調整機構付きのASI2600カメ
ラにEFマウントレンズを取り付けられるものです。
これもほしぞら工房さんに作って頂きました。
届いたものはこちら
これで手持ちの望遠鏡やカメラレンズに取り付けて撮影出来るようになりました。
あとはASI6200シリーズを購入すれば完成です。いつになるやら....。
7)C9.25XLTの補正板の汚れ
惑星用の望遠鏡C9.25XLTの補正板に液が垂れたような汚れが付いていました。
拭いてみると取れません.....? 補正板の内側に付いているようです。
前の持ち主のninzyaさんに話を聞くと、以前にも同じような事があったそうです。
鏡筒を立てて置いていたのが原因かなと思います。
仕方なく補正板を外します。
補正板を外したところ。
水道水で手洗いして、最後は蒸留水で洗い流して....
風通しの良い場所で干します。
元に戻しました。きれいになりましたね。
後は光軸調整のみです。
カセグレン望遠鏡の補正板を外したのは初めてだったのでちょっと怖かったのですがなんとかなりました。
今年は大物の買い物は一つもなく、とても質素な年になりました。
来年以降欲しいものと言えば..... より欲しいものから順番に書きます。
1)FLI CFW2-7(50mmφ7枚フィルターホイール)
2)TS-Optics TSRCRed(GS300RC用の0.8倍レデューサー)
3)ZWO ASI6200MMPro (フルサイズ冷却白黒CMOSカメラ)
4)ZWO ASI6200MCPro(フルサイズ冷却カラーCMOSカメラ)
5)ZWO AM5(ハーモニック赤道儀)
6) Planwave L-500(片持ち据え置き赤道儀)
7)GS400RC・TR(40cmリッチークレチアン望遠鏡)
8)リモート天文台(日本の暗い場所・または海外)
6以降は多分一生掛かっても実現しないかな。でも宝くじが当たれば.....(笑)
今年もご訪問ありがとございました。
またコメント下さった方ありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
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