寒い日が続いていますね。11月末から急激に寒くなりなんだか夏から冬になったようです。秋ってあったのかな....。

 11月の新月期から12月初旬にかけて撮影したのはオリオン座といっかくじゅう座の境界部にあり、冬のカラフルタウンの別名を持つNGC2170です。

 本家のカラフルタウン(アンタレス付近)と比べて、とても淡く小さい対象なので、10年ほど前にあららぎ高原でVC200Lにて撮影したのですが、全く歯が立ちませんでした。F9で狙うのは無謀でしたね。

 淡く暗いので遠征で撮影と考えていて自宅では敬遠していましたが、これだけ遠征出来ないとそうも言っていられません。今回は20時間を目指して11月〜2ヶ月掛けて撮影することにしました。
 ブロードバンド撮影なので光害が比較的少ない方角で、かつ月のない夜での撮影となると、中々撮影チャンスに恵まれません。結局12月も月が大きくなってしまいましたので、目標の20時間に一歩届きませんでしたが、画像処理してみることにしました。
NGC2170_ASA10N_ASI6200MMPro_LRGB 完成 5500
NGC2170
撮影日時:2024年11月2日23時46分〜 他、7日、10日、29日、12月1日、2日
撮影場所:岐阜県土岐市駄知町自宅観測所
望遠鏡:Astro Systeme Austria ASA10N(950mm F3.8)
コレクター:ASA 3" Wynne Corrector(900mm F3.6)
カメラ;ZWO ASI6200MMPro -20℃ Gain100、Offset50
フィルター:Astrodon Gen-2 Tru-Blance I-Series LRGB Filters
赤道儀:ビクセンAXD
ガイド:N.I.N.A.+PHD2+SX-SuperStarにてオフアキシスガイド
露光:L10分×42枚、R5分×45枚、G5分×46枚、B5分×49枚
総露光時間:18時間40分
処理:PixInsightにてWBPP。GraXpertにてカブリ補正、SPCC、AS、HT、CT、LHE、GHS。
   PsCCにてカブリ補正、ローカルコントラスト調整、NXTにて暗部のみノイズ補正

撮影を終えて。
実際には26時間ほど撮影していましたが、途中で曇られたり、西の空の光害の中で写りが悪かった約7時間分は捨てました。それでも中光害地の自宅での撮影にしてはまずまずの写りでしょうか。20時間弱の露光が効いているかな。さて次の新月期、年末年始はどうしようかな....久しぶりにバラ星雲を20時間かな。

PS
2025年1月開催のYSイメージ主催、第3回天体写真フォトコンテストにて優勝頂きました😊
よっちゃん、龍之介さんありがとうございました。


この中でコメントがいくつかありましたが、その答え。
1)BXTを使わなかった理由
 通常はBXTの星像のみを補正する『Correct Only』のみ使用していますが、今回のバージョンのせいなのか分かりませんが、自分のPCではレインボーノイズのような縦ノイズだらけになってしまい使えませんでした。

2)各フィルターの露光時間について
このASI6200MMProを購入したのが昨年の10月。買ったばかりでCMOSカメラの特性を掴んでいなかったということもあり、L10分、RGB各5分というスタイルは、つい先日まで使っていた冷却CCDの撮影方法をそのままCMOSに受け継いでいました。実はコメントに記載していませんが、RGBは2binで撮影しています。冷却CCDカメラでは2binにすると感度が2倍になるため、2binの5分露光では1binの10分露光と同程度の感度となります。色情報の解像度はL画像ほど必要としていないため、このスタイルでずーっと撮影してきました。
 でもCMOSカメラの場合、冷却CCDカメラと違い2binにしても感度が2倍にならないということに、撮影途中(12月に入ってから)気づき、1binに戻したという経緯があります。今では全て1binでLRGBともに5分露光として枚数を稼ぐ方式に変えました。

3)微恒星の描写について
 よっちゃんが、微恒星の描写がくっきりしていてBXTを使っていないにしても何らかの処理をしているのでは?とコメントがありました。これはハイパスフィルターの強さ1で微恒星をシャキッとさせる方法(よっちゃんのビデオで見た)を使っています。

4)NXTの暗部のみノイズ処理について
 暗部のみに掛かるようなコマンドはなく、PsCCでレイヤーに画像をコピーして、上段側にNXTを掛けてノイズを抑えた後、輝度マスクを作り、暗部のみ掛かるようにしただけです。実際NXTは微細構造の描写がCamera Rawのノイズ処理より優れていて、掛けた後の高輝度部のダレが少ないのですが、さらに高輝度部にノイズ処理が掛からないようにマスク処理したということです。

5)ASA10N望遠鏡について
 ASAの純ニュートン反射鏡筒は8N、10N、12N、14N、16N、20Nがあり、自分のは口径250mmのASA10Nです。スクリーンショット 2025-02-12 22.04.24

しかし、このシリーズは4-5年前に製造販売中止となっており、現在中古市場でしか手に入りません。
人気の鏡筒なのか、最近は中古市場(世界中)でも見ることはありません。
レアな望遠鏡なので、日本でこの望遠鏡を使っているのは、自分を入れて4名しか知りません。
8Nが1人(近江商人さん)、10Nが1人(自分)、12Nが2人(sloさんとNikさん)

6)スパイダー(光条)について
 ASA〇〇Nシリーズのスパイダーはダブルスパイダーです。
IMG_1269
NGC2170の写真でも光条の割れが確認出来ますが、通常1本スパイダーのようにスパイダーマスクで修正することは出来ません。12Nを持っているsloさんはこの調整方法をマスターしてみえますが、自分は怖くて触れないため調整を諦めています。(sloさん直して〜)