毎年年末恒例の『〇〇年を振り返って〜写真編〜』の2024年版です。

 今年は、紫金山アトラス彗星が10月に0等台と肉眼彗星になり、この彗星が明るくなったおかげで充実した年になりました。他には昨年M101に発現した超新星SN2023ixfを1年間追って、超新星の明るさと色の変化を捉えた写真が天文ガイドと2025年の天文年鑑に掲載して頂きました。

それでは、時系列を追って今年撮影した天体達をご紹介します。

1)1/5撮影 M78星雲
今年最初に撮影したのは、M78星雲です。
m78
ASA10N+ML29050、13時間35分露光 自宅にて


M78 ED70SS
ED70SS+笠井のED屈折・RCマルチフラットナーⅡ+Seo-Cooled6D(SEO-SP4C)+HEUIBⅡフィルタ
8時間45分露光 自宅にて

最近ASA10Nで撮影するときは、ED70SSを親子亀同架して同時に撮影しています。
ED70SS+笠井のED屈折・RCマルチフラットナーⅡの組み合わせ結構気に入っています。

2)2/6撮影 クリスマス星団付近
クリスマス星団 ASA10N_ML29050 5000
ASA10N+ML29050 5時間50分露光 自宅にて
はじめてGraXpertを使ってかぶり処理した作品です。カブリ取りソフトはどんどん良いものが出てきて光害地での撮影は大変重宝します。


3)2/10撮影 M81、M82付近

M81M82_ASA10N_ML29050TATE_−30C_完成6 5000
ASA10N+ML29050 13時間55分露光 自宅にて



4)2/12撮影 M65、M66付近
M65 M66 ASA10N_ML29050 完成3 5000
ASA10N+ML29050 7時間20分露光 自宅にて
久しぶりにM65、66付近を撮りました。ハンバーガー銀河(NGC3628)のヒゲもかすかに写りました。

5)2/13撮影 紫金山アトラス彗星c2023a3.001
近日点の9月より7ヶ月前の2月13日に撮影した紫金山アトラス彗星です。ASA10N+ML29050。自宅にて13.5等星でした。
900mmで撮影してゴミのような姿です。かすかに尾を引いています。(この後10月に大彗星になるんですね)

6)2/14撮影 62P彗星
62P_ASA10N_LRGB CROP のコピー2
ASA10N+ML29050、1時間55分露光 自宅にて

この彗星は2023年末に8等星まで明るくなった彗星ですが、どういう訳かこの日まで撮影していませんでした。この日はちょうど小銀河(NGC4608やNGC4596)と接近してシャッターチャンスでした。

7)3/9撮影 12P(Pons-Brooks)彗星
12P GS300RC_COOLED6D 2024_03_9BXT3 のコピー
GS300RC+Seo-Cooled6D(SEO-SP4C)+HEUIB2フィルタ 42分露光 自宅にて
夕方の空で条件が悪く取り敢えず撮ってみた感じになってしまいました。

8)3/9撮影 M109
M109_LRGB GHS BXT_PSCC2 WAVELET NO2 CROP のコピー
GS300RC+ML16000、18時間20分露光 自宅にて

この銀河の形が結構気に入っています。

9)5/3撮影 紫金山アトラス彗星

C2023A3 2024_05_03 21:00 crop のコピー
GS300RC+ML16000、120分露光 自宅にて

近日点より4ヶ月前の紫金山アトラス彗星です。尾がしっかりしてきました。ダストリッチな彗星でイオンの尾や緑のコマは確認出来ません。(この頃からこの彗星の特徴が現れていますね。)


10) 5/8 M63(ひまわり銀河)
M63 LRGB_CT_LHE_PSCC CROP2 のコピー
GS300RC+ML16000、8時間露光 自宅にて 4/3サイズにクロップ


11)6/3撮影 紫金山アトラス彗星
C2023 A3 20240603 のコピー
GS300RC+ML16000 48分露光 自宅にて

近日点まで3ヶ月前の紫金山アトラス彗星です。少し尾が長くなったかな。でも明るさはあまり変化していないようです。この頃アメリカの天文学者がこの彗星が明るくならず、若しかしたら崩壊してしまうかもという予想を発表していました。『またか』と落胆しましたが、結果は予想に反して大彗星になってくれました。良かったホッ。

12)超新星SN2023ixfの1年間の明るさと色の変化
SN2023ixf in M101の光度変化 のコピー
M101に現れた超新星SN2023ixfの1年間追い続けた写真を組み写真としました。
発生直後は青く明るく輝き、その後の明るさと色の変化が面白いです。
この写真は天文ガイドの天体観測の部に応募し入選しました(今年はこれが唯一の応募でした)
また天文年間2025年にも掲載してもらいました(連絡なく天文年間が送られてきたので押し売りかと思いました(笑))

13)6/14撮影 M16
M16-LRGB_LHE_CT_PSCC_NN_FINAL_abe3 のコピー
GS300RC+ML16000 2時間55分 自宅にて


赤のバックに赤い星雲となる創造の柱。ブロードバンドでは色のコントラストが付かないので中々立体的に表現するのが難しいです。ナローバンドで来年は撮ってみたいです。


14)7/5撮影 SeestarS50によるM27
M27 Seestar first light のコピー
SeeStar S50 8分露光 自宅にて

SeeStar S50のファーストライトです。これは楽しいですね。ポンとおいてスマホで撮影。良い時代になったものです。

15)7/5撮影 NGC6820
NGC6820 GS300RC_ML16000 SAO6 のコピー
GS300RC+ML16000 SHO  7時間20分露光 自宅にて
今年初のSHOナロー撮影です。露光時間が足りないですね。ノイズが多すぎます。

16)8月撮影 NGC6914
NGC6914 完成 5500
GS300RC+ML16000 13時間30分露光 自宅にて
はくちょう座サドル近くの小さな青い星雲です。

17)9月〜10月撮影 アンドロメダ銀河(M31)08a75599
ASA10N+ML29050 12時間10分露光 自宅にて

久しぶりにアンドロメダを撮りました。

18)10/2〜撮影 紫金山アトラス彗星C2023A3
ここからは、今年のメインイベントの紫金山アトラス彗星です。
10月に観望好期だったので前回のネオワイズ彗星(C/2020F3)のように梅雨時ではない安定した秋晴れを期待していたのですが、今年は最悪。秋の長雨が2ヶ月も続き11月初旬まで悪天候続きで暗い空をへの遠征が出来なかったのが残念です。それでも晴れた日は毎回近場や自宅で撮影しました。
紫金山アトラス彗星 2024年10月2日crop
10月2日 明け方の紫金山アトラス彗星 アポゾナー135mmF2→2.8+6DSEO-SP5 0.8秒 恵那市東濃牧場付近にて紫金山アトラス彗星2024.10.12 Apo-Sonnar135mmF3.5+EOS6D(SEO-SP5 のコピー
10月12日 夕方に回った紫金山アトラス彗星 アポゾナー135mmF2→2.8+6DSEO-SP5 自宅付近のお墓にて

紫金山アトラス彗星2024.10.13
10月13日 アポゾナー135mmF2→2.8+6DSEO-SP5 自宅付近のお墓にて

C2023A3 2024_10_21 18時30分 アポゾナー+6DSEO-SP5 山岡 のコピー
10月21日 アポゾナー135mmF2→2.8+6DSEO-SP5 岐阜県恵那郡山岡町にて

C2023A3 ASA10N_ASI6200MMPro_RGB  5500
10月26日 ASA10N+ASI6200MMPro 自宅にて
C2023A3_ASA10N_ASI6200MMPro pscc5500
10月30日 ASA10N+ASI6200MMPro 自宅にて

2024_11_03 C2023A3 ED70SS_COOLED6D のコピー
11月3日 ASA10N+ASI6200MMPro 自宅にて

C2023A3_ED70SS_COOLED6D_1106 のコピー
11月24日 ASA10N+ASI6200MMPro 自宅にて
C2023A3 ASA10N_ASI6200MMPro 4000
12月3日 ASA10N+ASI6200MMPro

約2ヶ月晴れたら撮影していました。
大きく明るい彗星また来てくれますように。


19)10月〜11月撮影 M45(すばる)
IMG_3029
ASA10N+ASI6200MMPro 5時間12分 自宅にて
ASA6200MMProで撮影した最初の本格的な写真です。

20)11月撮影 M33
M33 ASA10N_ASI6200MMPro_HUEUP2 の5500
ASA10N+ASI6200MMPro 10時間35分露光 自宅観測所

21)12/8 土星食
土星食潜入中
土星食
ミューロン250+α6300 4K動画よりキャプチャー

22)11月〜12月撮影 NGC2170
NGC2170_LRGB_CT_LHE2_Ps8 の5500
ASA10N+ASI6200MMPro 18時間40分露光 自宅にて

23)12/24撮影 M42(オリオン大星雲)
M42_MGC_SPCC_MS_HT_LHE_3_CT のコピー
ミューロン250+ミューロンフラットナーレデューサー+Seo-Cooled6D(SEO-SP4C)+HEUIB2フィルタ。65分露光 自宅にて


まとめ
今年もたくさん撮りました。でも遠征が近場の2回だけ。一応毎月遠征計画はするのですが。
来年こそ遠征して満天の星の下で撮影したいです。

今年の天体写真の天文雑誌への応募は1件だけ。最近送るのが面倒になって来たんですよね(^_^;
でも入選すると嬉しいので撮影のモチベーションアップにも繋がります。来年は頑張って応募しようかな。