2020年は新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、毎日のように感染者数の増加、重症者・死者ニュースが流れる異常事態となった年となりました。幸い感染には至っていませんが、感染の恐怖と隣り合わせの毎日を過ごしています。
こんな社会状況の中、その影響を受け他府県への星の撮影遠征を躊躇せざるを得なくなっています。
しかし、外に出られなくなると危険なのがポチリ病です。
今年は倹約するつもりで今したが、ひょんな事から今まで希望していた機材をGET出来た年にもなりました。
1)Vixen70th記念R200SS望遠鏡(RED)



ビクセン70th記念R200SS望遠鏡(RED)
R200SSは発売開始の1993年頃にGP-D・R200SSD2Mを購入して以来約30年愛用している望遠鏡です。当初はデジタルカメラはなく、フィルムカメラPentaxMXを取り付けて撮影していました。
2010年頃にオーバーホールを行い、接眼部補強、ボスノブ、電動フォーカサー化など整備してきましたが、今回70th記念の赤いR200SSが70台限定発売となり、思い切って購入しました。ロットNoは002番。うーん残念。#001が良かった〜(笑)
それでも002は貴重だと思うので大事に使っていきたいと思います。
ロスマンディ規格のアリミゾ+トッププレートをコスモ工房さんに作ってもらい、また2点止め鏡筒バンドは、友人に黒色に塗装して頂きました。また、斜鏡ネジ隠し蓋に70th記念のラベルがありましたが、ボスノブに変更するとラベルを取りはずす必要があるため別の友人に3Dプリンターでボスノブの上からラベルがみえるような円柱かぶせ蓋を作って頂きました。
ご協力して頂いた方、ありがとうございました。
この望遠鏡でのファーストライトです。

赤いR200SSにちなんではくちょう座のチューリップ星雲です。
R200SS+Corector PH+SEO-COOLED6D(SEO-SP4C)
2)Astrodon Narrowband filter 5nm 50mm unmouned Hα、OⅢ




4-5年前から買いたいものリストに入っていたアストロドンのナローフィルターです。
7月初旬偶然見つけたヤフオクにて落札しました。しかしSⅡフィルターを落札し損ねたため、AOOでやるしかないです。そのうち手に入れるつもりでいましたが、コロナ感染拡大により製造ラインがストップされ現在は在庫がない状況が続いています。
品薄のなか新たにクロマ社のナローフィルターを見る機会が増えてきました。性能的にはアストロドンと同等以上な上、価格が割安(3nmの50mm unmoutedで750ドル。アストロドン5nmフィルターが870ドル)です。アストロドンのSⅡフィルターが手に入らないので、Hα、OⅢを売ってクロマに買い替える事も選択肢にありましたが、LRGBフィルターがアストロドンと言うこともあり、決断は出来ませんでした。
12月に入りクロマ社のナローフィルターの価格は2倍へと跳ね上がり、結局買うタイミングを逸しました。気長に待つことにします。
3)ε-160ED

タカハシのHPより。
タカハシから7月13日突然ε-160EDが発表となりました。噂が全くなかったので驚きましたが、もっと驚いたのがそのスポットダイアグラムを見たときでした。

他のイプシロンと比較してもすごいですよね。
昨年何年かぶりにε-160用のデジタル補正レンズが発売になり、発売初日で完売となりました。ε-160も20年以上前に発売された機種ですが、やはりイプシロン。光学性能はピカイチなので、手放さずに大事に持っている方が多かったと考えられます。ε-160EDの発売は、昨年のデジタル対応補正レンズの初日完売に需要があると考えたからなのかもしれません。
実は、昨年5月、ε-180EDを購入一歩手前まで行ったことがありました。スターベース名古屋の閉店セールの展示品を買うかどうするか悩んで、お金を握りしめてお店まで行ったのです。店長と30分から1時間くらい相談した結論として、ε-130Dを持っており、その焦点距離が70mmしか変わらない事、光軸調整機構はε-130Dの方が優れること、ε-180EDではSXP赤道儀には載らないこと、金額が43万円と思ったより高かったことを勘案して購入を止めました。そしてその1-2ヶ月後、そのお金を原資にASA10Nを購入となったのです。
ε-160EDを最初に見たとき、昨年諦めたε-180EDに対して焦点距離が30mmしか変わらないε-160EDを購入するつもりは全くありませんでした。ε-160のリニューアル程度(補正レンズが標準でデジタル仕様)と思っていました。
しかしスポットダイアグラムを見た瞬間、これはただのリニューアルではないと感じました。あのε-180EDと同じED補正レンズを搭載し、イプシロン史上もっとも優れた結像性能。望遠鏡の作りもε-130Dとε-180EDの良いところを掛け合わせたような仕上がりとなっていました。
購入を決めるのに迷いはありませんでした。これは絶対買うべきだと(笑)
K-ASTECさんに相談して、バンド類を分けてもらえることになりました。注文から約2ヶ月後の9月に到着しました。




アンドロメダ銀河(ε-160EDファーストライト)
望遠鏡:ε-160ED+K-ASTECバンド+EAFフォーカサー
カメラ:Seo-cooled6D(SEO-SP4C)
ファーストライトを行いました。フルサイズ最周辺まで見事な星像。気持ちが良いです。
4)Optolong L-eXtremeフィルター
手軽にカメラレンズでも使えるデュアルバンドフィルターのIDASのNB-1を昨年購入して使ってきました。しかし、NB-1は帯域幅がHα領域で20nm、OⅢ領域で30nmとナローバンドとしては中途半端でした。 48mm径のOPTOLONG12nmのHαフィルターとOⅢフィルターは持っていましたので、ナロー撮影は冷却6DのドロップインフィルターBOXに差し替えて使ってきました。
10月初旬、Optolongから今までにないHα、OⅢともに7nmという単品と変わらないデュアルバンドフィルターが発売となりました。IDASからもNBXという双方11nmのデュアルバンドフィルターが発売。どちらにするかかなり悩んで、12nmの単品フィルターを持っていることもあり思い切ってL-eXtremeフィルターを注文しました。


本当は52mm径が欲しかったのですが、残念ながら最大径は48mmまで。ステップダウンリングを介して冷却6DのドロップインフィルターBOXに搭載して撮影します。
ファーストライトはこちら

勾玉〜レムナント付近
L-eXtremeフィルター(星はHEUIB-2フィルター)
Apo-Sonnar135mmF2解放+Seo-cooled6D(SEO-SP4C)

ミルクポット星雲付近
L-eXtremeフィルター(星はHEUIB-2フィルター)
Apo-Sonnar135mmF2解放+Seo-cooled6D(SEO-SP4C)
期待通りの写りでしたが、やや緑が強く赤の写りが良くないです。また輝星にはハロがでます。このあたりを補正してやる必要があります。
5)ASA10N用オフアキシスリング、光軸調整治具、ビクセンExtender PH接続(ネジ込み)リング
ASA社にはオフアキリング自体は発売されていますが、バックフォーカスの短さ(57.29mm)からASA10Nでは不可能と言われ、仕方なくガイド鏡による撮影を強いられてきました。
しかし、同じような長さのε-130Dでは実現していることからなんとかなるのではと思い、下の図面で実現可能なのかほしぞら工房の柴田さんに相談しました。

多少図面の修正が必要だが可能と返事を頂き、2ヶ月の作成期間の末届きました。

3インチWynne Correctorに接続されているリングはASA標準品。
左側のリングが、ほしぞら工房社製ASA10N用オフアキシスリング。
右下のフィルターホイール蓋はほしぞら工房社製CFW1-5カスタム蓋。

オフアキプリズムを取り付けたところ

オフアキシステム完成
ASA10N用タカハシ光軸調整装置接続リング
ASA10Nの光軸調整は、レーザーコリメータによる調整しか出来ませんでした。もっと精密に行うためには光軸調整アイピースの方がよいと感じていました。タカハシε-130D用の光軸調整治具は持っていましたが、接続が60mmネジなのでASAの82mmには合いません。そこでほしぞら工房のしばたさんに接続リングを作ってもらいました。

これでASAでも光軸アイピースを介した調整が可能となりました。
ASA10NにビクセンエクステンダーPHをネジ込み接続するためのアダプタ
ビクセンエクステンダーPHは、R200SS用に設計された高性能な1.4倍エクステンダーですが、汎用性を持たせるために2インチ差し込みでも使用可能となっています。
ASA10NもR200SSと同じ準ニュートン鏡で、F値も3.8に対して4とほぼ同じ。実際昨年このシステムで入選を果たしています。でもやはり差し込み式に対する安定感に不安がありました。
ほしぞら工房のしばたさんに相談したところ快く受けて頂きました。

従来は、2インチ差し込み接続で運用していました。



ネジ込みリング。やはり安定感が桁違いです。
6)GS300RC
12月初旬、星仲間からGS300RCがスコーピオさんから売りに出されているとの情報を得ました。

GSO社のGS300RC(口径30cm、F8のリッチークレチアン望遠鏡)です。
これは毎年欲しいものリストに入っていた望遠鏡で、主に春の系外銀河で使用を想定しています。
価格は30万を切った破格値でした。他の方も気になっていたようでしたが、その大きさと重さに躊躇されていたそうです。店長さんに電話して12月16日、現物を見に行くことにしました。
持たせてもらうと本体+フォーカサー+バンドで24kgはやはり重いです。載せ替え出来るのかなと実際の運用が脳裏に浮かびます。不安いっぱいの中、それでも憧れの望遠鏡を前にして手ぶらで帰ることは出来ませんでした。
自宅にもどり、赤道儀に乗せて、カメラも搭載してみました。


星仲間の方から、RC用のEOSオフアキリングを譲って頂き、冷却6Dを接続してみました。
そのファーストライトです。

GS300RC直焦点ファーストライト(光軸調整なし)
補正レンズなしの直焦点(フルサイズ)です。
意外と言っては失礼かもしれませんがそれほど悪くないです。最周辺で星が伸びるので補正レンズがあった方が良いのですが、これだけでもいけるんじゃないかと思えます。
その後、笠井のED・RCマルチフラットナーⅡ、光軸調整に必要なGSRC117、ホログラムアタッチメントが到着しました。

笠井ED・RCマルチフラットナーⅡ
これはバックフォーカスが可変出来るタイプのフラットナーです。このフラットナーのバックフォーカス値は55mmですが、無段階で調整できる(55mm〜72mm)ようになっています。

GSRCJ117です。
ドイツのTS社から個人輸入しました。注文から到着まで3−4日と爆早です。びっくり。
これは、GS300RCの接眼部と主鏡の光軸を合わせるために必要なパーツです。(このパーツは標準品とすべきものです)



レーザーコリメーターに付け替えて使うホログラムアタッチメントです。
アメリカのStarlight Instruments社から個人輸入しました。到着まで10日位でした。
500円玉くらいの大きさのパーツですが、送料合わせて17000円位します。たかー。
光軸調整をこの冬休みに行う予定でしたが、色々忙しくてまだやっていません(12月31日9:00現在)
今年もたくさん買ってしまいました(笑)
でも長年の念願だったアストロドンのナローフィルターとGS300RCが手に入ったのは良かったと思います。あとはコロナが落ち着いて、安定的な生活が戻る事を願っています.....写真編につづく。
コメント
コメント一覧 (6)
今年も宜しくお願い致します。
赤いR200SS、やっぱりカッコイイですね~。
黄色いイプシロン160EDといい30cmRCといい、着実に軍拡されてますね!
しかも、そのどれも見事に使いこなしていて、流石です。
のんた
が
しました
今年もどうぞよろしくお願いします!
去年は今までで一番の軍拡となりました。特に30cmRCとアストロドンナローフィルターは何年も前からの希望だったので今年それを使いこなすことが目標です。70th記念R200SSとε-160EDは衝動買いでしたね。後悔はしていませんが....。
今年は機材でなく写真で勝負したいですね。
UTOさん、今後ともご指導よろしくお願い致します。
のんた
が
しました
私は10年ほど前の「GN-170」+「ε160&デジタル補正レンズ」+「Cooled-X2」の写真から脱却したくて、機材を増やしていますが、なかなか良い写真になりません。
機材の力を活かす姿勢をのんたさんから学びたいと思っています。
のんた
が
しました
今年も泣く子も黙る軍拡でしたね。ε-160EDのスポット見たときに、私も抑えがたいポチリ発作に襲われてしまいました。”銀河砲買う”と硬く誓っていたにも関わらず、脳内で誰かが”この鏡筒はイイ物だ”繰り返し囁いていて大変でした。もっとうらやましいのがGS300RCです。シュミットさんのWEBもマメにチェックしていたつもりでしたが、掲載されていませんでしたよね? 掲載されてたら、おそらくポチってたと思います。さすがに30㎝だとウチの20㎝よりも圧倒的に収差少ないみたい。ウチのはAPS-Cサイズでもフラットナー無いと使い物にならないです。
写真編の方の記事も拝見しました。
私から見ますと、どの作品も異次元のハイクオリティでため息出ます。今年は銀河の写真も期待できますよね?
私も勉強して少しでもレベルアップしないとです。また色々とご教示お願いします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
のんた
が
しました
GN-170赤道儀!形が格好よくて精度も良い憧れでした。ε-160、CooledX2ならかなりの戦闘能力がありますね。ε-160ならフルサイズでも良いかと思います。
新しい機材を購入すると色々な周辺機器を整備しなければなりません。結構大変ですが、それも楽しみでもあります。
趣味なので肩肘張らず楽しみましょう。
今年もよろしくお願いします。
のんた
が
しました
昨年も色々教えてただいたり、作って頂いたり大変お世話になりました。ありがとうございました。
ε-160EDは僕もタカハシのHPみて即決しました。いつもならどうしようか迷うのですが、この望遠鏡は迷いなく購入となりました。
kaienさんこれは良いと思いますよ。
GS300RCはほんと運が良かったともいます。星仲間のninzyaさんからメールで教えて頂かなければ知らずに終わっていました。
夢にまで見た30cmRCなので今年中になんとかものにしたいと思います。
このRCフラットナーなしだと確かにフルサイズ辺縁部の星の流れが見られましたが、系外銀河なら気にならないかもしれません。笠井のED・RCマルチフラットナーⅡ入れれば辺縁部の星像は改善されましたが、全体に星の締まりが悪くなる印象です(バックフォーカスを再調整してみないとまだ分かりませんが)。
2インチスリーブ接続なのも気になります。これを改善するとなると、ねじ込み式のフラットナーに変更する必要があります。候補はTSRCFlat3ですが、3インチフラットナーなので接眼部から交換する必要があります。またお金が掛かります。いつかはその方向へ進むと思いますが、当分はこのままで頑張ってみようと思います。
今年もよろしくお願い致します。
のんた
が
しました